2017/05/13

YODについて


YOD(ヨド)とは、セクスタイルを形成する2天体からそれぞれ頂点に向けてインコンジャクト(150度)している二等辺三角形の複合アスペクトです。
「調整」「矯正」といったニュアンス――長じて「拘束」という意味さえ持ちます。
YODは非常に複雑かつ特徴のあるアスペクトですので、2回に分けて記事を書いていきたいと思います。



まず、YODについて書く前に、YODを構成するインコンジャクト(クインカンクス)について書いてみたいと思います。

例えば、牡羊座(四元素:火 / 三要素:活動宮 / 二区分:男性)を基点とした場合、
■乙女座(四元素:地 / 三要素:柔軟宮 / 二区分:女性)
■蠍座(四元素:水 / 三要素:不動宮 / 二区分:女性)
この2つのサインが牡羊座に対してインコンジャクトの関係となります。

ご覧のように、乙女座・蠍座どちらも、牡羊座にとって全く相容れない元素・要素・区分を持ちます。
インコンジャクトは、それでも何とかして折り合いをつけていかなければならない、お互いを牽制し合い、縛り合うアスペクトなのです。
お互いを生かしつつ、落としどころを模索しなければならないため、両者が「自分の”ありのまま”を過度に曲げて」調整していかなければなりません。それは大変な葛藤と苦しみを伴います。



Aさん(男性)の出生図です。

Aさんはある酒造会社の重役というお立場の方ですが、定年後も「相談役」として残ってほしいという会社からの強い慰留にも関わらず、大学で勉強しつつ美術品の蒐集と分析に残りの人生を捧げたいという希望をお持ちでした。

鑑定させて頂いた当時は2回目の土星回帰を迎えており、tノード軸(ヘッド)とSA天王星がICにコンジャンクション。

激務をこなしつつも通信制の大学に入学したばかりだそうで、確かに大きな変革期でした。

定年後の「相談役」としての出社は基本週に2、3回ほどとのことで、MCや金星の状態から「両立することはお考えではないのですか?」と伺ったのですが、「もうこれ以上妥協したくないんです」と笑顔で、しかしきっぱりとおっしゃっていたのが印象的でした。

水瓶座月-水星・獅子座木星-冥王星のオポジションは、非凡な視点と深く鋭い思考能力、人に対する強い働きかけ・主張、巻き込んでいくコントロール力を表します。
しかし、4つのインコンジャクトがAさんに「妥協と調整」を促すのです。仕事も勿論大変だけれど、一番苦労したのは社内の人間関係だったとおっしゃっていました。
Dec付近の火星は人から傷付けられやすいことを表しています。また月の状態から見ても、そういった人の機微のようなものを感じ取ってしまいやすい傾向とも言えます。

周囲とうまく融和するために妥協しつつ、ギリギリのところでバランスを取りながら主張を通せる能力。しかし心には相当な負担を強いられます。強いオポジションがあったとしても、インコンジャクトの縛りは強いのだと実感させられます。

Aさんは昨年退職され、現在大学3年生。このブログへの掲載許可を取るためご連絡したとき「毎日が宝探しみたいで楽しいけど、気楽ではない。どこの世界でもしがらみがあるんですよね。でも家で安穏としているよりずっと充実しています」と笑っておられました。



さて、このインコンジャクトがさらに三角形の二辺を支配するYOD。その「縛り」の強さが何となくご想像頂けるのではないかと思います。
その鋭い角度から「神の指(Finger of God)」と呼ばれているため、「天才の配置」等、神聖なイメージで語られている本も目にしますが、実際は少しニュアンスが違うようです。
また、YODという名前の由来はヘブライ語の10番目の音から来ているそうです。タロットで10番目と言えば「運命の輪」。「宿命」に似たニュアンスを帯びていると解釈することもできます。

「宿命」と言えばアンチ・バーテクス(AVt)-バーテクス(Vt)の軸を思い浮かべますが、YODは「ある特定の分野に拘束される」という意味での宿命と言った方が正しいのかもしれません。


左図の通り、YODは「BとCの目的のためにAが訓練される」アスペクトです。

先ほどと同じ例を用いると、以下のようになります。
■A(牡羊座)…個の誕生
■B(乙女座)…自分自身を律する(内的な調整)
■C(蠍座)…周りを意識し調整する(外的な調整)

つまりYODの頂点であるAの天体は、B・Cの天体によって内的に・外的にそれぞれ訓練されます。
逆に言えば、「AはB・Cの目的のためのみ、動くことができる」ということなのです。



1941/08/03 13:33 ニュージャージー州


右図はアメリカのライフスタイル・コーディネーター、マーサ・スチュワート(Martha Stewart)の出生図です。

女性の方なら一度くらいは名前を聞いたことがおありなのではと思います。若い方はご存知ないかもしれないのですが…。
日本でも一時期、彼女のオリジナル商品が店頭に置かれていた時期があったほど有名な方で、「カリスマ主婦」として"帝国"を築き上げた方です。

射手座の月を頂点とした、牡牛座の土星と蟹座の水星とのYOD。牡牛座の天王星はオーブ外ですが、YODの一角であると私は考えます。

土星-天王星のコンジャンクションは「不況」という象意に関わりますが、無駄のない「本物志向」のキャラクターを作ります。牡牛座ですから美意識も加わってくるのでしょう。この組み合わせは上記の「内的調整(B)」に当たります。

蟹座の水星は身の回りのこまごまとしたことへの視点。繊細な神経を持ち、他人の機微にとても敏感なキャラクターを作ります。この天体は上記の「外的調整(C)」に当たります。

マーサの場合、このBとC――普段の生活の中で本当に役立つアイディア、身の回りの住環境をよりおしゃれにしていく美意識といった象意が、射手座の月(A)を「理想的な家庭の奥様・カリスマ主婦」とするべく矯正・拘束するのです。

月は2ハウスなので、お金を稼ぎなさい、ということでもあるのでしょう。
マーサの月は、「B・Cによって新しい資質を後天的に与えられる月」であり、同時に「限界を突破させられるようにB・Cのために働かされる月」ということになるわけです。



YODの側面として、活動が制限される代わりに、その拘束された狭い範囲に関しては非常に有能な専門家をつくりあげ、異常なほどの大発展を遂げる点が挙げられます。

しかし、その拘束された象意以外のことについては、途中で断念せざるを得なかったり全くうまくいかなくてやめざるを得なかったりする出来事が起こるのです。
つまりYODの象意以外のことをすると、強制的に断絶させられるような経験をすることになりがちなのです。B・Cの意図から外れる、勝手な行動は許されないわけです。



マーサはもともとモデルをしていましたが出産のため引退しました。その後、株のブローカーをしていましたが、これもうまくいかず、田舎に移り住んだのです。
そこで料理のケータリング・サービスの仕事をしながら料理・園芸・室内装飾についてのコラムを雑誌に寄稿し始めたところ大評判に。「マーサ・スチュワート・エンターテイニング」という本を出版するとベストセラーとなりました。
そして大手スーパーマーケットと契約して「マーサ・スチュワート・リビング」を発刊。「素敵なカリスマ主婦」としてライフスタイル業界で"一大帝国"を築き上げたのです。

オリジナルグッズが売れに売れ、億万長者になったマーサは、実業家として元々なじみのある株の売買に手を出し始めます。しかしインサイダー取引にまで手を染めてしまい、有罪の判決が下りました。それによってマーサの会社の株まで大暴落してしまったのです。
その後、リアリティー番組の司会者として復帰するのですが、全く人気が出ず、すぐに打ち切りの憂き目にあっています。


これらのエピソードだけでも、YODの拘束がいかに限定的で強く作用するものなのか、お分かり頂けるのではないかと思います。
逆に、「YODの象意以外のことは無能である」とも言えるほどなのです。

それでも、やはりYODを持つ人は独特の生きづらさを抱えています。上記のマーサ・スチュワートも、YOD独特の不安定さを抱えていたことと思います。
しかしYODによって発達しやすいという点を考慮したとしても、その成功の裏には膨大な探究と血のにじむような努力があってこそでした。

Asc等の感受点も考慮するとYODを持つ方は割と多いです。勿論、時期によってpやtの天体でYODが一時的にできる方、シナストリー(相性)でYODを形成している方もいらっしゃると思います。
出生図にYODをお持ちの方は、ご自身が生まれた瞬間にどのようなことを宇宙から望まれていたのか、ぜひ考えるきっかけにして下さったらと思います。


今回はYODの基本的なことについての記事でしたが、続きの記事では、YODを持つ人の独特な特徴等、もっと掘り下げていきたいと思います。

4 件のコメント:

  1. こんばんは、すず先生のところでご一緒している小林です。
    ものすごくタイムリーというか…なぜかここ最近、自分のYODしかもブーメランが気になり解読しようとしているのですがよく分からず…!
    ああ…桐吉さんならすごく知ってそうだから見てもらいたいなあ…と、思っていたんです…!(特にここ1週間くらい)
    すず先生のとこでYODのテーマをリクエストしようかなあ…とか。
    タイムリーすぎてびっくりしてコメントしてしまいました…!!!
    私の念が届いたのでしょうか…(ブルブル…)
    続きも楽しみにしています!!!!

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    1. 小林さん、コメントありがとうございます。
      小林さんの強い念に、良いタイミングで少しでもお役に立てたのなら嬉しいです(笑)(*^o^*)
      ただ、YODとブーメラン型では形が似ているようで、意味合いがかなり違ってくるのです…。
      それでも、どちらにせよ小林さんのブーメラン型は蟹座土星が頂点ですから、どんなときでも原点に立ち返ることを忘れずに今の素晴らしい活動を続けていかれると良いと思います。
      イベントでお忙しい中、コメントありがとうございました。私も会期中にぜひ遊びに行かせて頂きますね!

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  2. こんばんは!
    コメントしたはずが…送れてなかったようです(>_<)
    やはりブーメランはかなり違うのですね…。
    YOD、自分のことながら本当に難しくて理解できないままなので研究せねば…!
    イベント、来ていただけるのですか…!
    最終日の21日16時~しか在廊していないのですが、よかったら見ていってください^^
    ではでは、20日の講座で…!

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    1. 小林さん、重ね重ねありがとうございます。
      YODやブーメラン型は私もまだまだ分からないことがたくさんあるので、またご一緒に勉強していければと思っています。
      イベント、小林さんのいらっしゃらないお時間しか伺えないのですが楽しみにしています!ありがとうございました。

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